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ヴァイオリンヴァーニッシュ・クランドシーラーの発売

ヴァイオリンヴァーニッシュ・クランドシーラーの発売
オイルニスの最大の問題は下地の塗装方法です。楓裏板は膠水処理とサンダラック・ウォルナットのVernice Liquidaまたはサンダラック・アンバーで目止めできます。スプルースの表板の木端部分はニスの吸い込みがあり、なかなか普通には目止めできません。アルコールニスが目止めに有利な点は「速乾性」と「浸透性が低い」ことです。木目への浸透を防ぐ処理として膠水を用いるのですが、導管が大きければ物理的に塞ぐ措置が必要です。今回サンダラック・ウォルナットのVernice Liquida、製品名としてはヴァイオリンヴァーニッシュ・グランドViolin Varnish Groundが下地のオイルニスとなりますが、これに無機物フィラーを練り込んで目止め剤としました。フィラーは珪酸アルミニウム化合物の天然土です。パミス、ポッツォラーナ土、アタパルジャイト、ムードンなども検討しました。粒度と練り込んだ感触から石英質と長石質の鉱物の混合物を撰びました。
配合量としては20%重量です。ベースと同じく紫外線硬化ですが乾燥も速く使い易いと思います。写真を見て分かるとおりフィラー入りの方が木端の吸い込みがなく、滑らかです。多少の欠点として木目がやや不鮮明になります。

violinvarnish-sealer.jpg

ground sealer.jpg

ショートニスについての問題点

ショートニスについての問題点
オイルニスViolin Varnish Colophoniumはランニング・コロホニウム(グリークピッチ)と亜麻仁油の1:1の処方です。お問い合わせに「ショートニス」をご希望の方が多いのです。比率をPitch/Oil=60/40以上のオイルの少ないニスがショートニスで、出所はたぶんPeter Stefan Greiner,Brigitte Brandmair  "Stradivari Varnish"の著書だと思います。根拠は分かりませんがStradivari Varnishはオイルが少ないという分析結果を基にしています。これは誤解があります。オイルニスの本質を知らない故に分析値が樹脂/油脂という混合物である仮定で行われたものです。オイルニスは「化合物」です。エステル交換と赤外分光のピークについて見直して欲しいものです。
ショートニスができたとして、それは硬く、テレピン油に溶かさなければ使用できません。ここがショートニスの難点です。木材に最初に塗布するニスは「浸透」してはいけないのです。これがアルコールニスでは有利でオイルニスでは不利な条件です。前に書いたので省略しますが、浸透してはいけない理由は弾性構造を作る層ができてしまうことで、浸透を防ぐ方法は3つあります。
①ニスの粘度を上げる。②溶媒をなくす。③木材表面を親水性にする。
これらの理由と方法は以前書きましたが、ショートニスを作ってテレピン油で希釈するのも、ましてはオイルで希釈しては全く意味がありません。また樹脂が多いほど膜の強度は低く脆くなります。長所としては色が濃い、乾燥が速いということだけです。
ショートニスをオイルで薄めると「ショート(オイルを切ったという意味)」の意味がないどころか、普通のオイルニスより音は悪くなります。
そういうわけで、ランニング製品の販売と特注品の試作はお断りすることにしました。


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