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古典的アルコールの蒸留について

古典的アルコールの蒸留について
16世紀以前にスピリットニスがあったかどうかですが、処方としては記録があります。
問題はアルコール=スピリッツ=エタノールが作れたかどうかにあります。その意味で前の文献を紹介したのですが、作れなかったようです。
シェラックが現れるのは17世紀からです。それ以前に、例えば正倉院の中に工芸品の予備パーツとして残された品々にスティックラックがあるらしいです。実際に見たわけではなく調査関係者から聞いた話しです。しかしこれはシェラックとして使用せず、色素「ラック色素」で赤を必要としていたからです。
ヨーロッパでシェラック(ゴマラッカGomma Lacca)をアルコール塗料として使用するには、純度の高いアルコール蒸留技術が必要でした。焼酎、ブランデー(蒸留ワイン、ワインスピリッツ)の普通な装置、一段蒸留では40%程度のアルコール濃度が限界です。これを再再蒸留して60%程度にするわけです。「El Grecoが使用しているニスの作り方 」に出てくる"Agua ardens""Agoa"(燃える水)は70%までアルコール濃度わ高くする技術のことを意味します。このぐらいの濃度では常温で火が付きますし、サンダラックなどの樹脂は溶解します。しかしシェラックは溶解しません。たぶん90%は必要です。
消毒用エタノールは76.9-81.4vol%(薬局方)ですので、命の水は75程度までは段階式蒸留で作れたと思います。
1.何回か蒸留を繰り返す。
2.連続式に蒸留を繰り返す多段式で一つの装置にする。
3、装置的に精密蒸留装置を作る。
この装置の進化で蒸留の限度は96%まで上がりました。こうなると、シェラックでもマスティックでも自在に溶けます。
何故、エタノールと水が簡単に純粋に分離できないかは、親和性、結合力の問題です。水素結合で親和力があり結びつきが簡単に切れないからです。
これは非極性の石油類ですと、楽に蒸留温度を決めて精密蒸留できるようになります。
ストラスブルグ・テレピンや古典式ヴェネチアテレピン、オリオ・ダヴェッソの作り方の本はあるのですが、アーカイブはありません。高い価格でオークションに出ています。
しかし製法としてはテレピンを酸化重合するか、二重結合のポリマリゼイションで作るしかないのですから、空気を長時間通すか、加熱重合するという方法で作れます。これらは絵画で使用しますが、ヴァイオリンニスとしてはあまり重要ではありません。
ヴァイオリン以前の弦楽器の塗装は、アルコールニスではないということだけは云えると思います。
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