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Violin Varnish note and articles form the workshop of Koen Paddingここまでの解説

Violin Varnish note and articles form the workshop of Koen Paddingここまでの解説

処方のないヴァイオリンヴァーニッシュの本というのは、他にもありますが意味がないわけでもありません。そこは我慢して読むしかありません。しかし、ストラディヴァリのヴァイオリンヴァーニッシュがマルチアナ・ヴァーニッシュだとすると処方は松脂/亜麻仁油の1:1でそれ以上のことはありません。人はすぐ「レシピ」を教えることを要求します。実際のオイルニスの製造は処方という言葉の他に、多くの製法と職人芸の蓄積からなります。つまり必要材料を書いただけのレシピ、そこが問題となるのではないということです。だから「レシピ」という語が嫌いな理由なのです。

コーエン・パディング氏の生前の論文と関係者のコメント、遺品のリストからなるこの本の解説をいたします。

後書きを読むと、Magister社パディンク氏は彼の父が印刷業で工場を一家で経営していたとあります。古い印刷用インクは「オイルニス」でコーパル/亜麻仁油と酸化鉛で作られ、丁度ゴールドサイズとほとんど同じ処方をベースにしています。これに瀝青(アスファルト)またはカーボンブラックを練り込んだインクが使われていました。私も少年時代に、奈良の新聞社で使用している所を見ました。インクはその後脂肪酸アルキッドから完全合成のポリマー塗料へ変化していきました。ここで重要なのは、パディング氏自身が工場でインクを作ることが可能だったことです。この本の巻末に遺品リストがありますが、10kgの既にランニングされたサンダラックがあります。メーカー名から検索しましたが不明です。外注でランニング樹脂を入手できたというみとは、彼にランニングの技術が備わらなかったということにもなります。本書の至る所を探してもランニングについての説明が全くありません。しかしヴァイオリンヴァーニッシュとしては完全なものを作ることができました。私は、幸なのかもしれませんが、ランニングを数多く実験しました。結論としては「昔使った松脂と今の精製した松脂は違うもの」という結論です。これに至るまで多くの種類の樹脂を加熱して、一週間松脂を煮詰めるという古典的で非経済的な試験もしました。パディング氏はストラディヴァリのニスに興味が無かったわけではありません。システムとしての探求をしていることが、その根拠です。しかしそれに匹敵するニスを作れたことと、言っては悪いと思いますが「作れなかった」ことが事実としてあります。

私は伝統工芸というものは、新しい技術を取り入れて進化していかなければ、伝統は守れずに単に「劣化コピー」となってしまうと考えています。これは受け売りです。ほとんどの伝統工芸に携わる方々の意見です。

その観点からもパディング氏と私の現在行っている方法とは矛盾しないと思います。


私は昔テレビで、ニューギニアの原始的な素焼き、野焼きの壺の作り方を見ました。粘土で壺を作り乾燥させるところは陶芸と変わりません。その現地の人たちは草木を積み上げ壺を入れて野焼きで壺を焼きます。焼き上がりの終盤に、幾つかの壺を木の棒で取り出し、素早く砂地に埋めます。そうして砂に埋めない壺は薄茶色で埋めた壺は赤黒になり、色のバレエイションができます。これは表面酸化の酸素量をコントロールしているわけです。これは良いヒントになりました。オープンで加熱することと密閉系加熱の色の差は当然あります。

Roger Hargrave氏のパディング家の工房の排出装置がない件ですが、これは当然です。オイルニスやその類のインクを作る工程は既に図解入りの図書がありますが、密閉系で作ることが必要です。パディング家が伝統的オイルニスの製法を継承していて、処方は古典文献から採用していたのだと思います。私はパディング氏が松脂を一週間煮詰めるという無駄な作業を経験していたら、結論も変わったと思います。