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解説 Violin Varnish note and articles form the workshop of Koen Padding

解説 Violin Varnish note and articles form the workshop of Koen Padding
この本の内容については過去に"A rational look at the classical Italian coatings"
まで、本書の第3章の全文を紹介しました。そして今回第7章"The Magister Varnish System"と10章"Through thick and thin" 11章"The use of horsetail" 12章"Hatching alchemy from an egg"と"Apppendix 4(付録)""A scientific analysis of Magister products"の合計6章(本文12章)付録4章中)を紹介しました。
ヴェルニーチェ・リキッダVernice liquidaの作り方とDe Mayerne Manuscript(Ms. p. 51)
https://linoxin.blog.so-net.ne.jp/2017-06-26  これがヴェルニーチェ・リキッダはサンダラックとウォルナットオイルの組成による塗料という根拠になっています。書かれた時代は16世紀です。一方、Pece Grecaグリークピッチ(松脂)を主原料とする塗料はDe Mayerne Manuscriptでは"Pictoria Sculptoria & quae subalternarum artium" 
古い文書をメリーフィールドが解説して、ヴァイオリンヴァーニッシュの組成の大きな根拠となった「 マルチアナ・マニュスクリプト」については以下で説明しました。
またフィリポ・ボナーニ以降、その流れの修道士が記述した塗料の書籍からは、松脂・亜麻仁油系とサンダラック・胡桃油系の二つの塗料が存在します。しかしこれらは「絵画」の画材目的が主流でした。
"Nouvo Trattado di Qualsivoglia sorte di Vernici Comunemente dette della China"
Angelo Maria Alberto Guidotti  1764年イタリア
"Tratado de Barnizes,y Charoles,en que se da mode"  Genaro Cantelli
ジェナロ・カンテッリ1755年 スペイン
"Trattato sopra la vernice detta comunemente cinese"
Filippo Bonanni(1638-1723)
古典処方の研究はチェンニーニ、タンブローニ、メリーフィルドの著書に引き継がれていきましたので、ここが処方としての根拠となります。
Theophilus(1070-1125)"De diversis artibus"(On Divers Arts )
Cennino Cennini(1360 - 1427)"Il Libro dell'Arte"
Giuseppe Tambroni(1773-1824)"Trattato Della Pittura"
Mary P.Merrifield(1804 -1889)"A treatise on painting"
MagisterのKoen Padding氏がなぜヴァイオリンニスをサンダラック・ウォルナットオイルにしたのか、その根拠を知りたかったのですが、Magister社製品はヴァイオリンニスとしてはとても素晴らしく、成功しました。しかし、ストラディバリの使用したニスではなかった、松脂・亜麻仁油の方だったということが、私にとって最大の謎でした。
文献上の見方としてはマルチアナ・マニュスクリプトかデメイヤーン・マニュスクリプトかということになります。サンダラックかコロホニウムかと言い換えても同じです。
大きな障害はフライ、マイケルマンの著書が売れてスタンダードになり、一般に読まれるべきgeary baese、Brigitte Brandmair & Peter-Stefan Greinerの書籍が絶版となったことでした。これで真実から遠くなってしまったのです。
まだ結論を出すのは早いと思いますが、オイルニスとしての作り方の難しさで、マルチアナ処方はその詳細な製造の一部始終を伝えることが困難だったと思います。
松脂(コロホニウム)は半端に加熱してオイルニス化すると、何処をとっても良いところのないニスになってしまうことを知っています。色は薄く赤みはなく、乾燥は遅く紫外線を照射しても硬化せず、硬化しても「亀甲割れ」が生じたりと散々なニスを、初めのうち作ってしまいました。ランニングの長さと強さ(温度)の他に酸素供給量という因子を見つけ、実用化に至りました。Koen Padding氏が自身でコロホニウムをランニングした記述がないので、おそらくは、そこにたどり着く前にサンダラック系の製品を完成してしまい、そこに注力した結果だと思います。「二色性」の強いオイルニスは松脂系です。作れない製作家はヴェネチアテレピンを使用すると主張しています。間違いではありませんがヴェネチアテレピンが何から作られるかを考えると、本質的ではありません。生松脂から一度精製したバルサム、ヴェネチアテレピン、コロホニウムをまた調合して加工することは昔の人が最初に行ったことからは随分かけ離れていると思います。
訳中のVarnishとPaintの訳は共に「塗料」です。これはカタカナ表記とします。"Reipe""Recipt"は「処方」とします。「レシピ」としいう語句は私が嫌いなので使用しないことは、以前書きました。「ワニス」は「ニス」と書きます。どちらも日本語でVarnishのなまった表記です。人名は難しいのですが、出身地の原語で統一したいのですが、De Mayerne(テオドール・ド・マイエルヌ)の場合フランス出身の英国人ですのでそのまま英語表記デメイヤーンにしています。"Terpentine"はテレピン油を指す場合とヴェネチアテレピンを指す場合があることは以前に記載しました。