So-net無料ブログ作成

Le Vray Vernix des Lutha d Violles. de Mayerne/Ernst Berger訳

Pictoria Sculptoria & quae subalternarum artium
1620 T. de Mayerne.「画家彫刻家と芸術に属するもの」
"Beitr̈age zur Entwicklungs-Geschichte der Maltechnik" 「技術の発展の歴史への貢献」
Ernst Berger(1901)
"Le Vray Vernix des Lutha d Violles"
"Der wahre Firnis fuer Lauten und Violinen"
"The true varnish for lutes and violins"
「リュートとバイオリンのための正しいニス。」
処方。できる限り黄色で赤みがかった琥珀を何も加えずに密封されたクレイポットに入れてください。それは着実に燃焼する石炭の火の上に置いて、鉄の棒でその中を攪拌してみましょう。これはロジンのように見える黒い液体状に溶けます。
溶融したものを大理石の板石の上にそれを注ぎます。
油を分解するために、それはよく沸騰させ、十分に分解された後、ガチョウや鶏の羽ペンの軸を着けてみます。純粋なガラス張りの鍋に純粋な亜麻仁油を入れます。
その油が濃密に十分分解され沸騰して上に上らなければ羽は焦げません。
ニスを作成するには(油は英語でパイントまたはパリではパイントとと言います。)
約6オンスの粉末アンバーと油を一緒に暖めるましょう。すべてが溶解するまで、円にかき混ぜます。
だからニスは長くかかることが良いとされています。かなり液体になったら濃厚な油を琥珀に追加します。このニスは、太陽の下で乾燥と硬化をします。
ほど良い均一性に製作し、同じ布を介して加熱します。
油は、鉛の一かけらで分解しました 穀物やナッツ大のリサージを少々追加しました。沸騰させ、上記のように、鳥の羽を使用してテストします。
このニスは、一日で乾きます。
油を分解します。他の亜麻仁油のような場合(違う油か)にも発生しても同じことです。
火にかけたガラス張りの器にオイルを添加し、鉛板に流し出します。そして第二の同一のトレイでそれを覆い加熱します。
蓋まで膨張しますが、15分から30分できれいに収まります。2時間して次に進んでください。その後瓶の中油を太陽にすかしてみます。それは水のように非常に透明です。他の方法は、沸騰した油に火をつけて分解しますが、それは非常に透明になりますが 、完全に乾燥しているとき厚みが大きいことに気づくでしょう。

----------------------------------------------------------------------------

註)分かり難いと思います。この本は99ページからde Mayerneの"Pictoria Sculptoria & quae subalternarum artium" 「画家彫刻家と芸術に属するもの」を訳していますが、偶数ページがフランス語(原文)奇数ページがドイツ語で、同じ内容をドイツ語訳しているわけです。
亜麻仁油を鳥の羽の軸が焦げる温度に加熱して、別に溶融した琥珀を溶かして琥珀ニスとします。処方は琥珀と亜麻仁油が1:4です。酸化鉛(リサージ)を乾燥促進剤として使用してますが、光硬化性であることは明記しています。
私もこの仕事を始めた頃、ヴァイオリン制作者から、これと同じ表現の製法を聞きました。de Mayerneが出所だったわけです。しかしこの方法はFillippo BonanniやAngelo Maria Alberto GuidottiとGenaro Cantelliの方法よりかなり原始的です。1600年から1700年の間に装置が進歩したのでしょうか。それ以前のビザンチン時代の錬金術師たちは、これよりも進んだ装置alembicを開発していました。
琥珀は加熱すると焦げます。液相としてオイルを使用して効率を高めても、オイルは400℃という琥珀の融点には揮発しますので耐えません。私はかつて、シリコンオイルや不活性液体・フッ素系フロリナートの中で琥珀やコーパルをランニングしてみました。
琥珀粉の表面が空気に触れなければ、酸化し炭化する方向には行かないと思ったからです。
しかしあまりうまくはいきませんでした。シリコンオイルといえど450℃1時間の加熱では突如白い固体粉末になったり、琥珀の分解で可燃性有機物が発生したりするからです。
シェラックやマスティック、コロホニウムを溶媒として一割程度使用するというのは良いアイデアでした。これは前述の三人の著書に出てきます。
pictoria.jpg

ヴェルニーチェ・リキッダVernice liquidaの作り方 De Mayerne Manuscript

ヴェルニーチェ・リキッダVernice liquidaの作り方。(Ms. p. 51)
処方 ニス用の樹脂1ポンド(サンダラックすなわちジュニパー)註(1)と亜麻仁油4ポンドを火にかけます。
そして別の容器の中にオイル3オンスを徐々に入れます。常にへらで混ぜます。常に強い火を維持し、すべてが溶解するまでオイルを沸騰してみましょう。
そして、あなたはニスが十分に沸騰させた時に知りたいので、ナイフの刃ですくい、その強い粘着性がまだ少し足りなければさらに沸騰させます。火からニスを持ち上げ、布を張ったざるに注ぎます。注意:水に注ぐ

Vernice liquida e gentile.  優しいヴェルニーチェ・リキッダ。
亜麻仁油3ポンドおよび黄色琥珀1ポンドと煉瓦(クレイ)の粉6オンスを用意します。そとて、次の2つの開口部を有する蒸留炉を作り、各開口部は蛇腹にします。以下見過ごされていることを明らかにします。
非常に強力な石炭が燃え上がる炎に、穴を開けたガラス張りポットでストーブの周りに鍋に引火しないように燃やします。
火災の危険に対して私は、まな板(これは濡れた布で覆われている)を用意し、火が跳んだときそのまな板でそれに蓋をしています。
鍋はオイルを石炭の弱火で加熱し、そして見かけは容器の天井まで膨張しますが、そのうちスカムがほぼ3分の1になります。私が言ったように、最初に少しのオイルで琥珀を溶解します。註(2)あなたが沸騰したオイルにそれらを投げ、いつも悲惨なことになるなら、そうならないようにうまく投入することです。その後炉から下ろし、スパイクラベンダーを取り粉末の上ににそれらを投げ入れ、よく混合し、蓋をして休ませます。

註1) この時代はサンダラックがジュニパー(ジネプロ)と同一だったということですが、
現在商品としてのジュニパーはFrankincense,Olibanumを指すことが多いのです。ニスの原料としてはサンダラックはこの1600年代頃のサンダラックと同一です。芳香剤もデ・メイヤーンは"REGIS & REGINAE MAGNAE BRITANNIAE,TRACTATVS DE ARTHRITIDE"
で解説していますまので、それを見るとジュニパーとサンダラックは別の記述になっています。これは謎です。
註2)亜麻仁油に直接サンダラックや琥珀を入れて作ると必ず失敗します。理由は、加熱時間が長くと温度が高すぎると、十分ランニングしないまま亜麻仁油は重合して、粘度が上がり、膨張します。混ざり合わない二つの有機物を加熱するとたいていの場合膨張します。最小限のオイルで琥珀を加熱する方法は、「液相」があることで温度が伝わりやすくなるからです。

ms51l.jpg
----------------------------------------------
このDe Mayerne Manuscriptは英国の学者Théodore Turquet de Mayerne(1573-1655) がメモに残した手書きのノートです。その一部をErernst Berger(1857 -1919)が訳したものを参考にしました。原文はラテン語と英語、Erernst Bergerの本はドイツ語と途中からイタリア語になります。混ざっていることもあり、とても読みにくい文です。日本ではド・マイエルンと表記しますが、英国人ですのでデ・メイヤーンとします。出身はジュネーブです。

訳と処方の重量 
処方の略号はRPです。
昔の重量単位はポンドでしたが、実際の重量は時代と地域でバラバラでした。
16世紀の文献のポンドLbはlibra pondus秤のポンドと呼ばれる単位です。
グレーンは麦一粒の重さで、1ポンドはパン一食分の重さということです。
ちなみに米一合は6600粒。
薬衡ポンドApothecaries
pound(℔) 12ounce  5760grain 373.241 g
ounce(℥) 8drachm  480grain 31.1g
drachm(ʒ) 3scruple 60grain 3.887 9g
scruple(℈) 20grain 1.296g
grain(G)  0.0648g

しかしドイツでは次の単位Pfが表記されています。
Pfund(Avoirdupois Weight)
(1 Pfund = 16 Unzen = 32 Lot = 128 Quentchen = 512 Pfenniggewichte = 1024 Hellergewichte)
Pfund=Pf
Unzen=VNC   
その他1/2をSS=と表記しています。(ブログで表記できないフォントβに似た字)     
古書を読む人には常識かもしれませんが、なんとも言いがたい歴史と地域の壁を感じます。

de-mayerne-vl.jpg

自社オイルニス製品と下地処理

自社オイルニス製品と下地処理
ヴァイオリン用のオイルニスとして、生松脂のコロホニウムオイルニスを復元してきました。ヴァイオリン用ニスとしては良い出来だと思いますが、全体としてのシステム、つまり下地からトップまでの塗装をどうするかということで試作をしてきました。
これまで金色の下地として記述された、塗料についていろいろな知書の訳文を紹介してきました。ヴァイオリン用オイルニスの下地システムの調査と、実際に塗装した結果はある程度貯られてきました。
金の下地塗料"Imprimitura doratura"「金色のプライマー」を探していますが、蛍光の明るさの点で満足なものがありません。最下層に塗布するとなれば、その上にオイルニスを塗装すると蛍光は明るくはなるのですが、現在調査と試験中です。
サンダラック/ウォルナットのオイルニスは「ビザンチンシステム」としてMagister社のシステムです。このシステムは5層とされています。
1. Priming プライマー
2. Sealing シーリング 
3. Ground グラウンド
4. Painting ペイント
5. Varnish ヴァーニッシュ
しかし内容的には
1. Priming プライマー"Imprimatura dorata"
2. Sealing シーリング"Imprimatura dorata" 
3. Ground グラウンド"Vernice Liquida Commne"
4. Painting ペイント "Vernice Liquida"Dratura,Rosso,Cremonese,Doratura Marrone,
5. Varnish ヴァーニッシュ 上に同じ、またはどれか選択。つまりPaintingとVarnishingは同じことです。
と要するに"Imprimatura dorata"で着色してcommuneコミュネ(またはパミスを練り込んだコミュネ)で無色塗装の目止めをして、上にDratura(黄色)Rosso(赤)または Marrone(茶色)で着色するだけです。
赤の薄い色が黄色であるという「二色性」ではないシンプルで巧妙な色が出るのが特徴です。
これに対しコロホニウム派(Marciana Varnish)は
1. シーリング 膠水塗布
2.グラウンド コロホニウム/亜麻仁油のオイルニス。目止めはパミス使用もある。
3.着色  グリークピッチ/亜麻仁油のオイルニスにコチニールレーキ(紫)を練り込んだもの。
という単純で明解な方法です。コロホニウム系オイルニスの「二色性」を利用した、黄色の上に紫で赤を作る方法です。いろいろ試験してみますと、オレンジ系のレーキはあまり効果がなく、ニスのベースに埋没してしまいます。同じ理由でマダーレーキもあまり効果的ではありません。ストラディバリの コロホニウム系オイルニスとコチニールレーキの組み合わせは最適だということでしょうか。
最初のシーリングで一番大切なことは、木材にオイルニスが染みこまない方法をとることです。
繰り返しになりますが、下地はまず最初に目止めするオイルニスが、毛管現象で下の木材に染みこむ物理現象と、木材のセルロースの繊維が樹脂やオイルで表面が覆われている場合、油性の塗料は深く染みこむという化学現象をいかに少なく抑えるかがポイントになります。表層から0.3mmの深さで止まっているという16世紀の楽器ですが、0.3mmという数字は結構大きいと思います。できれば0.1mm以下(100μm)です。ニスの膜の厚さは数μmから20μm程度です。繊維質表面を親水化してオイルニスが染みこまないようにする方法は、木材をアルカリ洗浄するか、燻煙して表面有機物を分解するか、膠などの親水性有機物を塗布する方法しかありません。アルカリ洗浄はナトリウムやカリウムイオンがセルロース中に残る弊害があります。またセルロースの水酸基がアルカリイオンと結合して、物理的性質が変わってしまう懸念があります。実際に木材をアルカリ処理して溶かして、酸で中和したものが紙です。
という理由で、今のところ膠水処理以上の方法はありません。木材へのダメージを考えると、実際に体積がかなり少なくなる膠という素材がベストです。燻煙も一つの方法ではありますが、長い年月寝かした木材では油脂分と樹脂分が微生物分解して、これも一つの同じ効果を持つ方法です。
今のところ「金色の下地」に関しては、まだこの先に研究していきますので、結論は出しません。従って、製品化もしない方針です。情報は提供致しますので、皆様独自の方法を試行してください。

金色のニス"Valuable secrets concerning arts and trades"から

Valuable secrets concerning arts and trades, 1795 著者不明 発行Thomas Hubbard
芸術と商業に関する貴重な秘密:または最高の芸術家が認めた手法:黄銅、銅、または鉄の様々な彫刻方法。金属とニスの組成。マスティックやセメント、シーリングワックスなど色彩と絵画、馬車の塗装用。紙に絵を描く。肖像画からの組成物。透明な色。スキンや手袋を染める方法。銅版印刷物を着色または塗装する。ガラスに絵を描く。オイル、水、クレヨンのすべての種類の色。ギルディングの技術。朽ちた木、骨などの芸術。モールディングの技術。ワインを作る芸術。様々組成の酢。酒類および精油。製菓芸術。あらゆる種類の錆や汚れを取る。

金色のニス。
1.カラーベ(琥珀)(註1)またはアンバー8オンス、ガムラック(シェラック)2オンスを用意します。非常に強い火の上で、ヴァーニッシュ用土鍋またはアレンビックのレトルトで、カラーベを溶かします。これが溶けたら、ガムラックに投入してこれを同じ方法で溶かします。その後、火を消して冷やします。すべてが滑らかな流動性を持っているかどうか、観察します。8オンスのテレピン油を入れてそれを混ぜておいてください。(註2)ヘパティカアロエ(黒いアロエ)で着色された亜麻仁油をおよそスプーン一杯で薄めてシロップ状の濃さまで薄めるために所要量のテレピン油を混ぜて、アナトー(rocou)(註3)で着色します。
2 .上記の目的のために、ヘパティカアロエで亜麻仁油を調製する方法。
ヘパティカアロエで亜麻仁油を調製し、これに粉末4オンスを1ポンドの油で混ぜます。非常に厚いシロップの粘度になるまで、火の上で加熱します。オイルはスカムが発生して膨らむのを確認します。それから、布を通して冷やして、それを瓶詰めし、上記の使用のために保存します。
3.上記のワニスの組成で使用される、アナトー抽出液を作る方法。
アナトー抽出液を作るために、4オンスをテレピンの油に入れてください。(註4)アレンビックのレトルト(註5)で、これを穏やかな火の上に置きます。油が沸騰し始めたら火から取り除きます。滑らかになるまでよくかき混ぜ、それを濾紙で濾過して、前の指示どおりに使用します。

(註1)アンバーの黄色いものをKarabeカラーベと言ったらしいのですが、確証はありません。
(註2)テレピン油と亜麻仁油の順序が逆である気がします。火災の危険があるので、テレピン油は必ず、系を冷ましてから最後に添加します。
(註3)ロコウ、ベニノキ、アナトーと同じとあります。これも確証がありません。アナトーは熱には強いのですが、光退色します。
(註4)記述にはテレピン油の量が不明です。
(註5)アレンビックは蒸留器、レトルトは簡易蒸留器でかなり古くから存在しました。

この著書は1000もの処方を列記した本で、著者は不明です。英国と米国で出版されました。1795年の初版ですが、プリントの字体から1800年中ぐらいの製本だと思われます。

valuable-secrets.jpg

ギルディングと金色塗料

ギルディングと金色塗料
ギルディングGildingとは金箔装飾を指しますが、銀や他の金属の上にオレンジ黄色塗料を塗って、疑似的な金装飾も含みます。錬金術時代の成果とも言うべきで、ドイツは技術としては進んでいました。これはボナーニの著書で、イタリアに神聖ローマの軍が攻め入ったときに、多くの試料本が流出したことの記述がありました。

ローマからビザンチンとイタリアに残されたいろいろな技術は、ドイツ、オランダ、フランスで研究されて今日の化学の基礎となりました。
Sebastian Trautner "Neue und wohl-approbirte Haus- und Kunst-Ubung"
「新しい認可された家庭の芸術と実践」1715
この本にある金色の塗料は、後にヴァイオリンの下地としての隠し処方となりました。

金色の塗料
sadaraca 1pf.
aloepatica und colophonii jebes 1pf ,saffran 1 loth.
亜麻仁油を6ポンド。サンダラック1ポンド
アロエと松脂各1ポンド、サフラン1ロット
Pfはドイツポンド。lothはLotで1/32ポンドだそうです。
(1 Pfund = 16 Unzen = 32 Lot = 128 Quentchen = 512 Pfenniggewichte = 1024 Hellergewichte)

特にドイツの本はフラクトゥール(ドイツゴシック文字の原型)で読みにくく、綴りも今と違っています。なんとか処方部分は解読できました。マダーレーキの最高の製造方法も、黄金の下地もドイツ文献にあるようです。しかし読みにくさは格別てす。
gold-paint01.jpg

neueundwohl01.jpg