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コロホニウムオイルニスの塗装

海外のヴァイオリン製作家Sさんから、ヴァイオリンヴァーニッシュ・コロホニウムとピュアアンバーで塗装した、ヴァィオリンの完成写真を頂きました。とても明るく色味も自然かつ丁度よく仕上がっています。オイルニスは特にコロホニウム・ダークの色の濃い仕様のご要望が多いのですが、最近原料の生松脂が入手し難くいろいろ試験しています。下地をノーマルで明るくオレンジぽく塗装して、ダークを一度中間に塗り、最後にアリザリンロジンレーキ・パープルまたはレッドの赤色を塗装して、研磨していくとレリックな感じにはなりますが、私は「擬古典」はお勧めしていません。元々前述の方法で塗装したヴァイオリンが汗や日光退色で部分的に剥げ落ちたものが今に伝わるオールド楽器です。最初は均一で明るい色であったと想像します。天然物は時間とともに硬く、脆く、色は暗く、黒く変化します。これは是非理解して頂きたいのですが、元のニスはオイルニスの方が保存性は良いはずです。アルコールニスも200年と経ちますと脆くなって剥げ落ちます。定期的に塗り直しが必要でしょう。古楽器に見える下地の金色は実は元々の無色のニスが経年変化したものではと思います。二色性を保っていますが、明らかに染料や顔料にない下地の色です。

写真提供 Sさん

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中村先生の工房訪問

本牧から東京に転居されたということで、中村先生の工房に訪問しました。
"Liutaio Yoshiki Nakamura"という工房ですが、以前偶然にも横浜本牧にあった、先生の工房でオイルニスのお話を聞かせて頂きました。それから11年経ちました。中村先生は日本人ヴァイオリン製作家としては、歴史的であると思います。時々、イタリアの弦楽器製作家の文献写真に"Y.Nakamura"とあるのを見つけますが、極めてメディア活動がない方ですので工房にお邪魔しない限りお会いすることはできません。
先生はこの日、修復した"Goffriller"を弾いて頂きました。とにかく音が大きいので、圧倒されます。ニスは金色ぽい下地から一貫したというよりは連続した赤味のある琥珀色で透明感は素晴らしいと思います。色は深く、明るい蛍光灯下では暗いのですが、室内を暗くしたときに赤味が分かります、これが「明るい蛍光」です。この楽器は「二色性」もよく分かります。黄緑の要素が見えると同時にオレンジ色も感じます。たぶんアマティ以降で、正しいコロホニウム系のニスを用いてるのもゴフリラーの1700年初のこの時期が、伝統継承の限界ではないかと思います。同じく工房で見せて頂いたヴィヨームのチェロは、ニスとしては良い赤いニスですが、下地は顔料を使用しているのか、木目がやや鮮明ではありません。この辺の感想は先生と同じ意見です。(写真;ゴフリラーを弾く中村先生)

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