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オイルニス講座その1

今までオイルニスについて多くのことを書いてきましたが、ご質問が多い事項について解説します。

1.オイルニスとは
明確な定義というものはありません。テレピン油に溶かしたものを「オイルヴァーニッシュ」、アルコールに溶かしたものを「スピリット・ヴァーニッシュ」と呼びます。しかしコロホニウムのオイルニスの場合はエタノールに溶けます。コーパルや琥珀のオイルニスの場合は5%量でアルコール希釈することが可能です。
 ヴァィオリンについては最初はオイルニスでした。しかしこの16世紀前後から、アルコールニスはありました。何故この時期に、ヴァイオリンにアルコールニスを採用しなかったということですが、シェラックがまだ一般に流通していませんでした。シェラックは1750年ごろから使用されました。そして音質の良いことから一挙に、ヴァイオリンに採用されました。シェラックニスがオイルニスの代替えとしても、もう既に300年近い歴史を持っているのです。

2.オイルニスの硬化
オイルニスは紫外線で硬化するか、放置して酸化することにより硬化します。これは架橋反応です。古典的にはUVブラックライトが無くても、日光で硬化するので実用的でした。
絵画のメディウムは組成が同じでも、硬化反応は酸化を使用します。鉛やコバルトなどの有機塩を加えると酸化硬化が促進されます。これは絵画のメディウムが、顔料を多量に使用しているため、紫外線硬化に不利なため酸化剤を使用することになりました。
亜麻仁油に酸化鉛、光明丹、密陀僧などを加える処方は古くからあります。

紫外線硬化の場合テレピン油のような溶剤を含むと、紫外線硬化は起きません。乾燥した時点から光硬化が開始します。オイルニスが硬化すると、テレピン油には溶けにくくなります。しかし、硬化直後ではまだテレピン油やエタノールで溶けます。かなり時間の経った塗膜は強固になります。

3.ランニングについて
オイルニスに使用する樹脂はたいていの場合、熱処理が必要でオイルを入れる前に、融解しておく必要があります。融解するだけでなく、かなり時間をかけて熱分解させ、重量としては50-75%まで原料します。熱分解物は揮発性のテルペン溶剤に似た成分と水が発生します。そのため、引火しやすく危険です。なぜ熱分解させて使用するかは、簡単にはテレピン油に溶解可能にするためですが、松脂は最初から溶剤に溶けますので、熱処理は必要はないということではありません。熱処理しない松脂のオイルニスは単に亜麻仁油に溶解した松脂で、塗料としては使用できません。「溶解」と「反応して結合」とは全く状態が異なります。

4.ランニングの技術
液相が熱を伝える。コロホニウム、松脂は熱可塑性ですので、熱をかけるとそのまま融れます。しかし琥珀や化石コーパルは熱をかけると、焦げて炭化し易いので粉末状にしないで粒状のまま熱をかけていきます。粉末状態ではみかけの比重が小さい=嵩が大きく熱が
伝わりにくいのです。10%とか少量のコロホニウムを添加すると、それが液相となり熱を伝えて融けやすくなります。
古典的な方法では、シェラックやマスティックを少量加えて琥珀を融かしています。この方法はシェラック、マスティックは高温で熱分解してしまうので、最終的には残りません。 コーパルとサンダラックのランニングはその樹脂の特有の性質を見ていかないと、コロホニウムの場合と琥珀の場合の中間でもない減少が出てきます。
加熱して10倍の体積に発泡膨張するので、単に液相を足すだけでは解決しません。
この場合特定の樹脂を極少量発泡したサンダラックやコーパルに投げ込むだけで、泡は消えます。泡は何故できるかということと、「消泡」の原理を知る必要があります。

炭化して黒くなる「過剰加熱」を防ぐには「砂浴」やマッフルでやや間接的に直熱を抑えるやり方があります。

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