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自社のオイルニス製品について6

自社のオイルニス製品について6
ヴァイオリンヴァーニッシュ・コロホニウムの仕様は下地に「ノーマル」(Comuneというべきか)または「ダーク」を2層塗布します。その上に"Colophonium Red"ですが、実際は ノーマルにアリザリンロジンレーキ・パープルを5%練り込んだ製品です。
"Red"というよりは"Purple"です。下地の黄色味と上塗りの紫が重なって赤になることは、以前述べましたが、この手法はコロホニウム系には有効ですが、他のベースでは少し事情が変わります。
ヴァイオリンヴァーニッシュ・アンバー+アリザリンロジンレーキ・パープル
これはあまり効果がありません。紫を帯びた茶色となります。琥珀ニスの暗さが結構強い感じです。
ヴァイオリンヴァーニッシュ・グランド+アリザリンロジンレーキ・パープル
これは紫です。サンダラック・胡桃油のベースは色が薄いので練り込んだレーキ顔料そのものの色となります。
ヴァイオリンヴァーニッシュ・コロホニウム+アリザリンロジンレーキ・オレンジ(doratura)は色はオレンジですが、それほど強い印象になりません。これはむしろンダラック・胡桃油のベースで有効です。写真はランニングしたコロホニウムです。生松脂ではない精製ウッドテレピンから作られたコロホニウムを原料としました。今のところこのランニングコロホニウムで作ったダークは質感が最高だと思います。

runningcolophonium.jpg


Vernici in liuteria 弦楽器の塗料

Vernici in liuteria 弦楽器の塗料

著者のGabriele Carlettiはピエーヴェディチェント(ボローニャ)、で1948年9月14日に生まれました。現役のヴァイオリン製作家です。おそらく多くのヴァイオリン製作家は彼のことを知っていると思います。

著書のVernici in liuteria の内容は訳して紹介することにします。

gabriel-carletti.jpg

さて、本の内容ですが、イタリア語ですので訳に時間がかかっています。しかし概論が多く、実用に近い著書ではない印象を受けます。Joseph MichaelmanやGeorge Fryの著書は16-17世紀にはあり得ない技術を考証なしに、紹介していますが、18-20世紀のものとして読む分には異論はありません。

G.Baese ですがこれは絶版で5-22万の中古品が出回っています。この著書の一部のコピーを見ると、砂浴の上でビーカーで樹脂をランニングする写真が載っています。(絶対に同じことをしないでください。)これを見るとこの中古品価格はありえないと思います。


現存する塗料の化学分析および同定

Actes de la journée d’étude Les vernis de violon - Cité de la musique – 17 juin 2006
ヴァイオリンニスの研究
La vie des vernis
Analyses chimiques et caractérisations
Jean-Philippe Echard, ingénieur de recherche, laboratoire de recherche et
de restauration, Musée de la musique, Cité de la musique, Paris

現存する塗料の化学分析および同定
Jean-Philippe Echard、分析技術者、研究、修復、音楽博物館、 "Cité de la musique"パリ

古いヴァイオリンニスの研究は、楽器のコレクションにあります。
音楽の博物館は、マルチ技術的な方法論の確立を関与しました。
 検査機器は、(その場走査型電子顕微鏡SEMで紫外線、光学顕微鏡下での蛍光)を観察し、(蛍光スペクトルX EDXRF、質量分析GC/ MSを用いて連結したガスクロマトグラフィー)で分析しました。マイクロサンプルから、あるいはその場で非破壊分析により、使用される材料の性質に事実情報を得ることができた有機物(油、樹脂)または無機物(顔料か、乾燥機)とニスの層構造。塗料とこの方法論の限界は、音楽博物館の楽器のいくつかのコレクションの塗料分析の結果を示しています。
(分析の詳細を省略して、結果を下に示します。)
Instrument Datation Organique Inorganique Structure
(楽器、製作年、有機物、無機物、構造)
Luth L. Maler 2005.3.1Avant1552Huile (de lin) Résine diterpénique Résine triterpénique
Alumino-silicates Pb, Ag, Al Sous-couche(s) minérale(s)
Lマラーのリュート1552年 亜麻仁油、ジテルペン、テルペン樹脂、ケイ酸アルミニウム
、鉛、銀、アルミニウム、下塗り
Théorbe M. Dieffopruchar E.980.2.321  Fin XVIe Huile (de noix)
Résine diterpénique sesquiterpènes Gypse, craie Ombre, silicates Pb
6 couches, dont une minérale
M. Dieffoprucharのテオルボ1600年代末 亜麻仁油、ジテルペン樹脂、セスキテルペン樹脂、石膏、チョーク、(カルシウム塩) 石英質、鉛、6層
Théorbe W. Venere E.548 1606 Huile (de lin) Résine diterpénique(téréb. de Venise)
Pb 2 couches (au moins)
W. Venereのテオルボ 1606年 亜麻仁油、ジテルペン樹脂、鉛 少なくとも2層
Viole de gambe M. Collichon E.980.2.667 1683 Gomme-laque (partiellementdécirée)
Non détectés Une couche
M. Collichonのヴィオラダガンバ 1683年 ゴマラッカ(部分的に破損している)
無機物は未検出 1層
Violon, «Sarasate»A. Stradivari E.1729 1724 Huile (de lin) Résine diterpénique
(téréb. de Venise) Hg (cinabre ouvermillon)Non résolue,échantillon trop petit
A. Stradivari ヴァイオリンSarasate 1724年 亜麻仁油、ジテルペン樹脂、水銀(シンナバー、バーミリオン) 構造は解析不能(サンプルが微小なため)

注)ジテルペン樹脂とはヴェネチア・テレピンのことですが、この頃のものは製法が違います。生松脂と同等な採取した樹液です。松脂と同一と見てもよいと思います。

他の器種の分析よりストラジバリは色付けとしてコチニールレーキであったり、いろいろな顔料をごく少量使用しています。 ヴァーミリオン硫化水銀とは意外ですが、これも結果の一つでしょう。