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コチニールレーキ

コチニールのロジンレーキは明礬で作ると真っ赤ですが、皓礬(こうばん)で作ると青紫になります。
これがコロホニウムオイルニスに混合すると黄色を消し合って、合成された色として「赤」になります。
量的には無溶剤のオイルニスに対して3-5の少量で効果があります。
下地はコロホニウムオイルヴァーニッシュで上にこの、コチニールロジンレーキを混ぜたレッドというシンプルな方法で昔のヴァイオリンを再現できます。
アリザリンロジンレーキの方がいろが明るく紫で、コチニールは青紫です。
赤くする効果としてはアリザリンの方が効率が良いと思います。
ストラジバリの時代はまだ前述のGransine法による、茜からアリザリン・プルプリンだけを抽出する方法が無かったのではないかと考えます。Madder Tinctoriaの従来のレーキ生成方法では、亜鉛塩にしても紫にはならないのです。
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レーキ顔料の混ぜ方1

ヴァイオリンヴァーニッシュ・コロホニウムにアリザリンロジンレーキ・パープルを5%混ぜてヴァイオリンヴァーニッシュ・コロホニウムレッドにする作り方を紹介します。
1.硝子板にヴァイオリンヴァーニッシュ・コロホニウム3.0gとアリザリンロジンレーキ・パープル2.5gを計量します。目的はヴァイオリンヴァーニッシュ・コロホニウム50gとアリザリンロジンレーキ・パープル2.5gの5%濃度ですが、濃い「バッチ」を作ってこれを希釈します。量が多くなると練ることが大変な手間になるからです。
2.始めは鉄のパレットナイフ2本を使って、硝子板の上で練ります。適当に混ぜても問題ありません。
3.ペースト状で硬いときは、テレピン油で少し希釈します。
4.曇り硝子板の上に少し広げて、ガラスミューラーで練る作業に入ります。
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5.ガラスミューラーで擦るように練っていくと、自然に広がってしまいます。広げないようにメディウムと顔料を摩擦で練る作業です。
6.ガラスミューラーの縁のニスをへらで時々取ります。
7.中心にニスの塊を置いて、広げないように練っていきます。
8.このような感じでしょうか。方法はいくつもありますが、10回ぐらい繰り返します。
9.一つにまとめて、これに残りのバインダー(ここではヴァイオリンヴァーニッシュ・コロホニウム)を足してヘラで練ります。これで完成です。
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コロホニウム・オイルヴァーニッシュ2

コロホニウム・オイルヴァーニッシュはとてもシンプルで、松脂と亜麻仁油だけという処方もですが、下地の最初からそれほど細工無しにそのまま塗装していくのがベストです。
分析結果から「最下層は亜麻仁油を塗布して目止めしていた。」これはたぶん誤りです。
オイルニスは成分としては松脂のアビエチン酸と、亜麻仁油のリノール酸、リノレイン酸などの不飽和脂肪酸がグリセリド(グリセリンエステル)を再結合したエステル、つまりアルキッド樹脂に似た構造です。
しかし単一成分ではなく、いろいろな形で混合していますので、かなりの量の亜麻仁油が残ります。
亜麻仁油にこれらのエステルが溶けている状態です。
木材に塗布すると、毛管現象で浸透します。これが亜麻仁油単一の最下層です。

写真はコロホニウム系のベースに、アリザリンパープルのマイケルマンレーキを5%混ぜたコロホニウムレッドを塗布したものです。あまり下の色の濃さには従っていないようです。このベースは色の薄いマルチアナニスを使用しました。
赤系で仕上げるときには、あまり色の濃いニスを作る必要もないようです。
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コロホニウム・オイルヴァーニッシュ

コロホニウム系のオイルニスの色のコントロールが可能になりました。
写真は無着色のベースだけの色ですが、上から1回塗り、2回塗り、3回塗りです。
左のMarciana系はコロホニウムを長時間加熱した従来の作り方です。
色の濃さはこの辺が適当です。加熱が短いと「亀甲割れ」を起こしやすくなります。
右は生松脂のオイルニスで両者ともオイルは生亜麻仁油です。
生亜麻仁油に石灰を加えで加熱する、"prepeared oil"の方法がありますが、これは採用しませんでした。
熱が足りていれば必要ないからです。
生松脂のオイルニスはこのままでもヴァイオリンに塗装して完成品に出来そうです。
下地に傷があると、その部分が染まってしまうので、一番下地は薄い色のオイルニスが良いのかもしれません。
着色したグレードはRedとOrange(Doratura)と濃い茶Dark Brownを作る予定です。
考え方の基本としてコロホニウム系はベースそのものの色を濃く作り、着色顔料はできるだけ使用しないことで、明るい蛍光と「二色性」の赤を再現することです。
二色性の赤とは、二つの色の要素(スペクトル的にはビーク)を持ち、平均的には赤に見えるという効果です。これを知っているとヴァイオリンを見たときにオイルニスかアルコールニスかを見分けることができます。
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自社のオイルニス製品について3

ヴァイオリンヴァーニッシュ・コロホニウム
ストラジバリの作品の分析は2009年6月発行ストラッド誌によるステファン・ピーターグライナーの記事などで分析結果を知ることができます。
初期の作品は下地はロジン亜麻仁油系オイルニスで僅かに無機フィラーがあり、表面より0.6mmの深さに留まっているということです。浸透しないオイルニスの使い方で理想に近いと云えます。コロホニウム=松脂と亜麻仁油のオイルニスは分析上は「普通のもの」で何の変哲もないという結果ですが、ここが最大のポイントでした。
「変哲の無い」これは反射FT-IRの結果で、もっと詳しく物質の同定をしてみると或いは現在の松脂とは違う構造が見えたかもしれません。反射FT-IRとUV、蛍光分析の値はそれほど製品の謎にせまるほどの分析結果を与えてくれません。非破壊測定が原則なので、それ以上の情報が得られないのです。
この他にもいくつかのストラジバリの作品から検出される成分は、コチニール亜鉛レーキの紫の顔料やX線回折分析の結果に原子とおよその比率から類推される無機物です。
この無機物はある人はポッツォラーナセメントだと云い、ある人は鉱物を予想した配合で"Mineral Ground"としました。石英質を使用した可能性もあります。
今のところ決定的なものはありません。

私の製品で評価の良いものはヴァイオリンヴァーニッシュ・コロホニウムですが、いろいろと色違いが出来るので、ブレンドして平均かするか、一定の「色」としてグレードをつけるか考え中です。
下地の問題はなるべく無色の下地で"Ground"を作りたいという方のためには、色の薄いオイルニスでリコポディウムまたは微細化したパミスでプライマーを作りたいと思います。
(一度無色の下地にすると、次の着色でやり直しが利くためです。)
最初から色の濃いオイルニスで、なるべく少ない塗装回数でという方には濃い色のオイルニスをということです。
 アリザリンロジンレーキ・パープルを少量使用したヴァイオリンヴァーニッシュ・コロホニウム・レッドの他にはDratura lakeも使用した少し明るい黄色系も作り、焦げ茶系の製品もライナップしたいと思います。ベースを販売してミューラーと硝子板、顔料を購入して各個人で色を作ってくださいというのは、多少メーカーとして親切ではないと思います。本来はそこが楽しいのですが。コバルトブルー、ビリジアン、ランプブラックの微量添加で「赤」の色はとても良く変化して「強い赤」や「渋い赤」に変化します。

サンダラックオイルニスとアンバーオイルニスに関しても製品の組み直しを考えています。もっと色と使いやすさの追求からの結論をつけるべきだと考えています。
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