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A Perfect Red「完璧な赤」

"A Perfect Red"「完全な赤 Amy Butler Greenfield
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この本は大航海時代の赤い染料コチニールの獲得を題材にした文です。
英語版ですが日本語翻訳版も出ています。
コチニールはサボテンにつくカイガラムシの分泌物から採れます。
コチニールカルミンと呼ばれます。carmineカーマインです。
ラック色素も同様なカイガラムシの分泌物でねアジア原産です。
古くは正倉院の保管品にもあるということを聞きました。
有機物で真っ赤となるとこの二つとドラゴンズブラッドの他にはそれほど材料はありません。
ドラゴンズブラッドはイエメンのソコトラ産のヴァイオリンニスに使用できるものと、ボルネオ産の中国漢方で使用するもの(ヴァイオリンニスには使用不可です。)星の刻印があるもので、光退色して無色になります。
コチニールとラックは光退色は強い方です。

ランニングコーパル使用の注意

ランニングコーパルは亜麻仁油に溶かしただけでは、オイルニスには成りません。
絵画のメディウムも同じです。亜麻仁油は脂肪酸のグリセリンエステルです。
グリセリンは3つのOH基を持っていますので、トリグリセリドです。
強加熱によりエステル基がいったん切れて、コーパルのカルボン酸と再結合することでオイルニスとなります。強加熱しない方法では消石灰(水酸化カルシウム)生石灰(ソーダライム)などの無機アルカリで、エステル基を切って2置換のグリセリドにする方法があります。
 ここまでは有機化学的な説明です。理論化学の前からオイルニスは製造されていましたので、そのころの表現としては「融かしたコーパルにあらかじめ石灰を入れて煮詰めた亜麻仁油を同量加え、へらですくったときに糸を曳くような状態になるまで煮詰めます。」となります。「融かしたコーパル」と言ってもランニングコーパルですから、融けてから半分の量になるまで加熱します。亜麻仁油の処理も石灰を入れて天ぷらを揚げる温度以上加熱して一時間という時間がかかります。最後の反応も同じです。

このようにオイルニスまたは絵画のメディウムを作るには熱と時間がとても多くかかり、危険で有害ガスの発生もあります。
使用は屋外で引火物の無い条件で行ってください。

ルビアチンクトリアRubia Tinctorium 3

ルビアチンクトリアRubia Tinctorium 3
前に"garancin"法について書きました。これは茜の抽出液を硫酸分解してアリザリンそのものを取り出す手法です。現在の技術ではアリザリンは合成出来ますので、アリザリンを茜から作る必要はありません。
しかし本当に同じものなのか、実験してみました。
合成アリザリンとルビアチンクトリアからのアリザリンは多少成分が違います。
このblogでは化学式を書かないことにしていますので、説明は省略します。
rubia-tinktoria0.jpg
写真はアルコールで抽出した茜色素Rubia Tinctoriumを乾固させたものです。
液体です。アリザリンは黄色の粉末固体です。
これを硫酸に浸けて分解します。
結果はまた報告します。
ただし1600年に硫酸が存在したかを調べています。原理的にはこのころの技術で作れます。
作ることができないのは塩酸です。硝酸は不確かですが生産可能だと思います。