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ストラディバリのニス:科学的知見のレビュー 感想

ストラディバリのニス:科学的知見のレビュー 感想
ストラディヴァリのヴァイオリンニスの秘密は、レシピにはないというのが結論でした。
人は私に「レシピを教えてください。」とよく尋ねます。私はこのレシピという言葉がとても嫌でたまりません。あまりにも技術者の苦労に釣り合っていません。
ストラディヴァリの使用したオイルニスの処方は松脂と亜麻仁油です。それも1:1のとても単純なものです。
単にコロホニウムと亜麻仁油だけしかないというのは、かえって秘密を知ろうとした分析者を混乱させました。パーツが二つしかないわけですから、片方の亜麻仁油をどう変化させても乾性油です。問題はコロホニウムの方にあると考えるのが合理的です。しかし、コロホニウム「松脂」はあまりにも単純なイメージで、ここで挫折した人が多かったのです。私の主張はこの「松脂」が現代唯一工業的に残ったWWグレードの精製されたものではなく、生松脂であったということです。むしろ16世紀にWWグレードの黄色透明な松脂はあったのでしょうか。生松脂はアビエス、シルバーヒィア・モミ、ラーチ・米栂、
スプルース・トウヒなどの近種の生レジン、バルサム状態のものを含みます。
あとはランニングの技術、装置もあります。マスティックを使用したり酸化鉛、光明丹、リサージ、密陀僧、の添加で硬化を速めたり、明礬、砂糖、硝石などで赤く着色する手法もあります。あらゆる手を尽くしてヴァイオリンニスはできていました。
単に一つのレシピが通用していて、それに従った薬局のニスを買って、塗布していただけではないと思います。ストラディヴァリは色材としていろいろ使用していることが、この分析結果で分かります。